曲の様式と作曲家の特徴を知る | ヴァイオリン上達練習法
ヴァイオリンの上達を目指すためには欠かせない2つのことがあります。
それは「曲の様式感(スタイル性)を勉強すること」と、「作曲家の特徴を知る」です。
この2つをやっているかやっていないかでは随分変わってきます。
初見力アップ、読譜力アップ、高度な音楽表現などにも繋がるので、ぜひ身につけたいものです。
曲の様式感(スタイル性)
まず4つの様式について簡単に紹介すると、
(バロック期)
バロック=対位法、のように思われがちですが、大抵の作品はどの部分も機能和声の説明がつくように書かれています。従って、バロック期の作品は古典期やロマン期同様、和声感をもって演奏します。
バロックでは古楽器のことを知らないといけません。
また、オルガン風な作品もたくさんあります(トッカータ、平均律など)。
コンチェルト・グロッソの知識も必要です。
(古典期(ソナタに関して))
ソナタ形式が確立した時代。作曲家たちはこぞってソナタ形式の曲を書きました。
ソナタでは、複数の主題(動機)をどうまとめるかが課題です。
まず、第1主題と第2主題は似通ったものに聞こえては退屈するので変化させます。
一方、テンポはゆるぎないものとし、整然とした印象を与えることも重要です。
一般に古典期の作品では技術的にごまかしのきかない場合が多く、1音1音の高い完成度が求められます。ソナチネ、ソナタを途切れることなく勉強すると実力アップにつながるでしょう。
(ロマン期)
作品の規模が大きくなり、演奏面においても強大さを求めるような曲が多く残されています。
従って、バロックや古典期と比べ、より強い表現、大きく変化させることを心がけます。
(近現代期)
機能和声の研究に行き詰まり、多くの作曲家は新分野を開拓しようとしました。
一方、古いスタイルを踏襲した作曲家もいるので“混在期”と言ってもよいでしょう。
また、同じ作曲家でも若いころと晩年では作風が大きく違う場合もあります。
当然、演奏スタイルも変わります。
テンポもきちんと守ってヴァイオリンを演奏したほうがよい作品が多いようです。
作曲家の特徴を知る
作曲家の手法やクセから学ぶ
それから、曲には作曲家が自分らしさを表現するために使った和声やリズムなどが必ずあります。
曲作りの上で、好みの恩恵や音列を使うので作曲家のクセともいえる特徴がでてくるのです。
作曲家を知ることで、ヴァイオリンの楽譜をみるとこれはブラームスの手法だな、と自然とわかるようになってきます。
そして手法が見えてくると、曲の理解が早くなり、読譜が速くなるのです。
想像力と好奇心
例えばバッハは偉大な父と呼ばれますが、バッハの曲を弾くときにそのことを少し意識して演奏するだけでも、なぜそう呼ばれるのかを知って練習するだけでもより世界が広まります。
バッハは、教会音楽の作曲家として神を讃える音楽を数多く残し作曲技法の礎を築いたとされます。
人は、思考や気持ち、言語、行動などはコントロールできるけれど、コントロールできないところをすべて持っているのがバッハだともいわれます。
バッハの曲は、正しい音と正しいリズムを掲示したとしても聴き手としては物足りなく感じることがあるのです。
そのため、“想像力”を持ち、曲の背景やバッハの非現実的な世界観を感じながら、音の余韻を入れたり、生命力を感じるような演奏にしていくこともポイントです。
以前、まろさんは、バッハの曲はあまり現実をおびてほしくないと話していたことがあります。
見えないからわからないから想像するし、妄想できる。
そういう状態まで持って行けるような音楽づくりをしてほしい。
作曲家のことを知ることでより演奏の幅が広がります。
それには、“好奇心”も大切だと話されていました。
ヴァイオリン上達のためにも、様式感や作曲家の特徴を知り、感覚的に捉えられる感性を磨いていきたいですね。