ヴァイオリン暗譜のコツ
ヴァイオリンに限らず楽器の演奏には暗譜というものがあります。
これは必ずしも必要ではないという人もいますが、コンクールなどで暗譜が必要な場面もあります。
このページには、暗譜のメリットやコツについて書かれています。
暗譜をして演奏するメリット
ヴァイオリンの演奏に暗譜は必要か
あるヴァイオリニストに
「暗譜をしますか?」と尋ねてみると、
Aさん:
という答えが返ってきました。確かに演奏会などヴァイオリンを弾く場面では、楽譜を見ながら弾いている人のほうが多いように思います。もしかしたら、「暗譜」ということ自体、必要ないのでしょうか?
別のヴァイオリニストにも同じ質問をしてみると
Bさん:
演奏するときは、楽譜を置いて見たりもするけれど、暗譜は必ず行っているそうです。
演奏の時に、楽譜を見ながら弾けるのなら、わざわざ暗譜して弾く必要性はないようにも思うかもしれませんが、暗譜の目的はそこではないようです。
Bさん曰く、 楽譜を見て弾くか弾かないかではなく、練習過程の中で「暗譜」を取り入れることに大きな意味があるようです。
「暗譜」と「オーケストラ」にまつわるエピソード
オーケストラの演奏会で、オーケストラのメンバーは楽譜を見て演奏していることがほとんどではないでしょうか。
安芸晶子さんがコンミスを務めた水戸室内管弦楽団の演奏会で、このような話があります。 後に暗闇の中の名演奏と言われています。 |
十分に練習を積み、音楽を弾きこんでいるからこそできたことだと思います。
ちなみにオーケストラの演奏中の停電は他にも同じようなケースがあり、そこでも最後まで演奏をし続けているようです。
意図して覚えているのではなく、音楽を噛み砕いて、細かい練習を重ねた結果、暗譜してでも弾けるという事で、このような惜しみない努力が、結果としてヴァイオリン演奏の上達につながるのだと思います。
暗譜演奏の歴史
暗譜での演奏の歴史は、もちろんピアノの原型が生まれた時から存在したと思いますが、演奏会で大曲となると、まだそれほど長くないと言われています。
歴史的には、19世紀に作曲家シューマンの妻である、クララ・シューマンが演奏会でベートーヴェンの大曲を暗譜で弾いたのが最初と言われています。楽譜を見ずに演奏するという姿はその後人々にどのように映ったのでしょうか。現在に至るまで少しずつ広まりを見せています。クララ・シューマンがなぜ暗譜演奏をしたのかなど、クラシック音楽の分野において暗譜演奏の歴史を調べてみるのも面白いかもしれません。
暗譜のメリットを挙げると、
・曲の理解度が高まる
・精神状態が良い(自信につながる)
・表現力が高まる
などです。
最初にお話ししたAさんも、「暗譜」という練習時間を特別にとっていたわけではないけれど、練習の中で曲を理解しながら自然と暗譜ができていたようです。そういう人も多いのかもしれません。
ただ、曲の細部まで読み込まずに、表面的な「暗譜」ですと、意味がありません。細かい強弱記号などを見落とすなら、暗譜しない方が良いです。
音楽を深く理解し、細部まで気を使い、音楽を構築していった結果の暗譜は、本当に意味のあるものになるのです。逆に、暗譜という行為を利用して、音楽を深く理解しようとする練習も良い練習と言えるでしょう。
具体的な暗譜の方法
正確に早く覚えるポイント
具体的な暗譜方法は、色々ありますが、耳で覚えていくにはソルミゼーションが最も効果的です。
(ソルミゼーションとは:音符に文字をあてて楽譜を歌う方法)
言葉を覚えるのと同じように考えます。リズムも声に出して数えます。
声に出して歌ったり数えることも記憶を助ける方法の1つなので習慣づけておくと良いでしょう。
もっとも確実な暗譜方法は言葉のように、音に意味を持たせて覚えていく方法です。
フレーズを認識し、合わせて形式も理解していきます。調整や和声なども常に意識します。
暗譜のポイントは、一音一音覚えていくのではないということ。
最短の暗譜方法は、曲全体を理解していく方法です。
遠まわりのようで結果、正確に早く覚えていくことができます。
暗譜できているかは確認しながらヴァイオリンを弾いてみましょう。
確認はとてもゆっくりとしたテンポで弾いてみる、途中どこからでも躊躇なく弾けるなどを行ってみます。
これらがスムースにできるまで練習することが大切です。
暗譜は本番の心のゆとりにもなり、表現力や演奏力のアップにも繋がります。
曲を理解しながら暗譜をし、苦手を克服していきましょう。
引き続きヴァイオリンの上達に役立つ情報などお伝えしたいと思います。